概要的な言葉
●セクシュアリティ(sexuality)
人間の性のあり方全般を指す言葉。文脈によって変わり、例えば性的指向を言う時に使ったり
トランスジェンダーがFtMかMtFかなどを言ったりする時にも使う。
●セクシュアルマイノリティ(sexual minority)
性的少数者、性的少数派などと訳される。性別違和感がなく異性を愛する人が多数者で
あることに対し、LGBT(IQ)の人たちを総称して使うことが多い。「セクマイ」と
略されることもある。
●セクシュアル・バラエティ(Sexual Variety)
性別は少数派/多数派、女/男にはっきり分かれるものではなく、それぞれ人の顔が
違うようにバラエティに富んだものであり、すべての人が性の当事者であるという考え方。
●LGBTIQ
Lesbian(レズビアン)、Gay(ゲイ)、Bisexual(バイセクシュアル)、
Transgender(トランスジェンダー)、Intersex(インターセックス)、
Questioning(クエスチョニング)の略称。セクシュアル・マイノリティ全体を指す
言葉として使われる。「I」については、セクシュアル・マイノリティとして括る
ことには議論があり、LGBTと使うことも多い。
●クイア(Queer)
元は英語で差別的に使われる「変態」の意。最近は当事者がポジティブに自称する
言葉として使われている。LGBTのことをまとめてクイアと呼ぶこともある。
●性自認
自分がどんな性別かという自覚。よくわからないと感じたり、大人になってから、
変わったり、揺らいだりすることもある。
●性的指向
自分がどんな性別を好きになるか。よくわからないと感じたり、大人になってから、
変わったり、揺らいだりすることもある。好きにならない人もいる。
身体の性にかかわる言葉
●性分化疾患(DSD)Disorders of Sex Development
外性器・内性器・内分泌系・性染色体など身体的な特徴が、男女に判別しづらい人の
状態。医療的対応が必要な場合もある。当事者が知らない・知らされていない場合も
少なくない。「インターセックス(半陰陽)」「性発達障害」「性分化障害」とも
言われてきたが、2009年に日本小児内分泌学会は総称を「性分化疾患」と統一。
心の性にかかわる言葉
●トランスジェンダー(TG)transgender
身体の性別とは異なる性別を生きる(生きたいと望む)人たちの総称。性別越境者と
訳される。常時、異なる性別で生活する人もいるし、プライベートな時間や職業的な
場面に限定して実践する人もいる。また、身体と心の性別に違和感・不一致感をもつ
人を総称する言葉として使われることも多い。
●トランスセクシュアル(TS)transsexual
性別に違和感をもち、性別適合手術などによって身体を変えることを望む人。
最近はあまり使われない言葉。
●トランスヴェスタイト (TV) transvestite
異性装者。外見や服装、性表現を身体の性別とは別の性別に求める人たち。
クロスドレッサー(CD:cross dresser)とも言う。最近はあまり使われない言葉。
●性同一性障害(GID)Gender Identity Disorder
医学的な診断名で、身体的な性別に不快感、違和感などをもち、身体を変え、反対の
性で生きることを強く望む。性同一性障害の診断を受けた人は、本人の希望があれば
治療を受けることができる。なお特定の要件を満たす人は、戸籍の性別を変更する
ことが可能。
●性別適合手術(SRS)Sex Reassignment Surgery
性器を望みの性別に近づける手術。以前は「性転換」と言われていたが、2002年
日本精神神経学会が「性別適合手術」に統一した。「オペ」「SRS」と言われることもある。
●MtF(Male to Female)
男性として生まれ、性自認が女性の人(女性として生きる/生きたい人)
●FtM(Female to Male)
女性として生まれ、性自認が男性の人(男性として生きる/生きたい人)
●FtX(Female to X)
女性として生まれ、どちらでもない性別として生きる/生きたい人。
●MtX(Male to X)
男性として生まれ、どちらでもない性別として生きる/生きたい人。
●Xジェンダー
男女の枠にとらわれない性の人。女でも男でもなかったり、女でも男でもあったり、
中性だったり、いろいろ。
●クエスチョニング Questioning
特定の枠に属さない、わからない、迷っている、典型的な男性/女性ではないと
感じる人。
性的指向にかかわる言葉
●同性愛者 homosexual(ホモセクシュアル)
同性が好きな人。ゲイは男性同性愛者、レズビアンは女性同性愛者のこと。
注意!「ホモ」「レズ」「おかま」という言い方は差別的に使われる言葉。
●ゲイ Gay
男として男が好きな人。オネェタレントばかりがテレビに出ているが、実際はオネェキャラ
じゃないゲイの人もたくさんいる。一般的に女装はしないが、パフォーマンスでドラァグクィーン
をする人はいる。
●レズビアン Lesbian
女として女が好きな人。宝塚の男役のようなボーイッシュな人もいれば、フェミニンな人も
いる。外見でレズビアンかどうかはわからない場合が多い。ボーイッシュとフェミニンが
カップルになるとは限らない。
●バイセクシュアル bisexual(両性愛者)
同性も異性も好きになる人。または、相手の性別にこだわらない人、あるいは相手の
性別よりも、例えば体格や性格を重視する人。
●異性愛者 heterosexual(ヘテロセクシュアル)
異性が好きな人。「ノーマル」「ノンケ」と言われることもある。
●パンセクシュアル Pansexual
全性愛。すべてのセクシュアリティの人を恋愛対象とする人。バイセクシュアルが性別を
女と男を基本にした見方であるのに比べ、こちらは性別は男女だけでなくいろいろな人
がいることが前提。
●Aセクシュアル A sexuai(アセクシュアル、エイセクシュアル)
人を好きにならない人。恋愛に興味がなかったり、恋愛はするがセックスをしたいと
思わなかったり、様々なパターンがある。過去に恋愛でトラブったり、性的な被害に
遭ったからそうなるとは限らないし、我慢しているわけでもない。「アセク」と略する
場合もある。
●ノンバイナリー Non binary
自分の性自認に男性か女性かという枠組みをあてはめようとしない考え方。性別が2つしかないという風潮に異議を唱え、
男女のどちらにも属さないというアイデンティティ。
●ジェンダーフルイド Gender Fluid
フルイド(Fluid)は流動的という意味。状況やその時々で、性自認が固定されず揺れ動いたり変化する人やアイデンティティのこと。
付き合い方に関する言葉
●ポリアモリー Polyamory
恋人が複数いてもいいという考え方。一対一での恋愛に縛られたくない人。複数の婚姻関係
の場合はポリガミーという。「ポリー」と略する場合もある。
●モノアモリー Monoamory
恋人は一人に限るという考え方。特定の一人の人との付き合いを望む人。または一夫一婦制。
「モノ」と略する場合もある。
よく聞く言葉
●ニューハーフ
男性が女装して接客する職業の名前。(性同一性障害やトランスジェンダーが多いが必ず
そうだとは限らない。手術している人もいれば、していない人もいる)勤務してなくても
アイデンティティとして自称する場合もある。
●おなべ
女性が男装して接客する職業の名前。(性同一性障害やトランスジェンダーが多いが必ず
そうだとは限らない。手術している人もいれば、していない人もいる)勤務してなくても
アイデンティティとして自称する場合もある。
●オカマ
ナヨナヨしている男や、女っぽい仕草をしたり、女装をする男に対して使われる、馬鹿にする
ために、あるいは気持ち悪がるために使われる場合が多いので、不快に感じる人が多い。
ゲイ当事者が自称することもあるが、他の人がいうなら「ゲイ」が無難。
LGBT関連の話によく出る言葉
●カミングアウト
自分のセクシャリティを隠している場合、誰かに打ち明けること。
「Come out of the closet」が元で、押し入れから出てくるの意味。
●クローゼット
自分のセクシュアリティを隠して暮らすこと。
●アウティング
本人の了承を得ずに、公にしていない性的指向や性自認を暴露すること。
●ホモフォビア
同性愛嫌悪。同性愛者に対して、あるいは同性愛的な現象について忌み嫌い憎むこと。
偏見のままに拒絶、排除、否定すること。そのような価値観。
●ヘイトクライム
憎悪犯罪。私怨ではなく、人種/民族/宗教/性別/性的指向などに係る特定の属性を有する
個人や集団に対する偏見や憎悪が元で引き起こされる犯罪行為。私怨ではなく、単に
LGBTであることを理由に危害を加えられること。